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いつも買取のご依頼ありがとうございます。専門書買取エキスパートです。
自炊代行サービスというと、家政婦さんが家に来て料理を作ってくれそうな気がしますが、今日の自炊は本の自炊と呼ばれているものです。
本の自炊とは紙の本を裁断機などでバラバラにしスキャナでPDFやJPG等の電子データに変換する作業の事の俗称です。
作業の際に「自分でデータを吸い込む」から「自炊」と呼ばれるようになりました。
自炊のメリットとしては、①本の品質劣化がなくなる②本の保管場所が必要なくなる といったことが挙げられます。
しかし、データになった書籍は複製が非常に簡単になるため著作権侵害になる危険性があります。
レンタルCDなどを録音して個人で楽しむのは問題ありませんが、複製して配布となると違反行為であることは広く知られていると思います。書籍に関しても著作権がある以上は同じ事が言えます。
何百ページもある本を一枚ずつスキャンしていくのは個人が所有する機械ではなかなか時間のかかる作業です。
そこで自炊作業を代わりにやってくれるサービスが2010年くらいから少しずつみられるようになりました。
しかし電子書籍化されたデータは著作権保護が難しくなることなどから、2011年に作家の浅田次郎や東野圭吾が中心となって代行業者を提訴しています。
双方の言い分としては
原告団:ユーザー個人が電子化する行為は私的複製として「認められる余地がある」が、業者が大規模に客を募って行う場合は「私的複製に該当しないことは明らか」
代行業者:業者側は「複製の主体はユーザーであり、業者は『手足』に過ぎない」
2014年の判決で原告側の全面勝訴となっています。判決を不服とした業者側は上告しましたが2016年に上告棄却され完全決着となりました。
かなりグレーゾーンとなってしまった自炊代行ですが、著作権者に自炊の許可を得られれば代行サービスに任せても問題はないようです。
日本での電子書籍普及率は20%前後を推移しているようですが、展望としてこれ以上増えていくことはなさそうであるという認識が増えていると思います。
電子書籍の便利さというのも理解はできるのですが、一人の本読みとしては紙のページを繰る楽しみだったり本棚に並んだ本を眺めてみる事だったり、そういった所にも本の楽しみがあるように思います。
便利さを追求する世の中ですが、本だけはアナログのままでいいのではないかというのが私の意見です。
安易な自炊代行は著作権侵害になる可能性がありますので、利用する際は注意してくださいね。